2010/10/07

Fresh Breeze -Day02-

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過去にタイムスリップできたとして、やり直したい事があるだろうか。
僕には今のところそんな事は無い。
そりゃ今まで人に言いたくない恥ずかしい事の一つや二つや三つや四つはあるし、
あの時ああしていればなと思い出し後悔する事の五つや六つや七つや八つはある。
けっこうある。
でも、それがあるから今があるわけで、偉そうに言ってしまえば失敗もまた全て自分の糧となったわけで。
僕は今ここにいるわけで。
ドイツはビールが美味いわけで。
デンマークの道行く人は美人ばっかなわけで。
けっこう元気にやっている。

北欧に撮影に行こうと決めた時に最初に持ち上がった問題。
それがどうやってエンジンを運ぶかだった。
出来る限り部品を解体してガソリンの匂いがしないように洗浄する。
新品に交換できる部分は交換し、段ボールに詰めて航空便で運ぶ。
果たしてそれは上手くいき、余分なお金を払わされはしたけれど、何とか無事に組み上がった。
かと思ったが、ここで重大な問題が発覚した。
エンジンの部品の一部が何かのせいでひん曲がっていた。
おそらく運んでいる途中に曲がってしまったのだろうが、犯人探しをしている暇も意味もないし、
絶対に犯人は見つからない。
とにかく何とかこの曲がった部分を元に戻さなくてはならない。
で、僕らは「Fresh Breeze」へ向かう事に決めた。

地図とにらめっこしながら、あるいはガソリンスタンドの兄ちゃんに道を尋ねたりして、ようやく目的地に到着。
色んな会社の工場と言うか、倉庫というか、そんな建物が建ち並ぶ一角に「Fresh Breeze」の看板が控えめに掲げられていた。
ドアを開けると若いスタッフが対応してくれて、すぐにボスのMarkusを呼んでくれた。
事の次第を説明すると、すぐにエンジンを持って来いと言った。
「どうせ、時間がないんだろ?じゃあ、今すぐやろう。」

元イタリア代表監督のリッピに良く似た年配のBerndと2人で早速修理に取りかかる。
工場内はエンジンの完成品や部品が並んでいる。
外は広場になっていててテスト飛行を行うには十分の広さがある。
2人は真剣な目をしたかと思えばジョークで笑いって肩を叩いたり。
お互いをリスペクトしながら作業を進めていく。
そしてあっという間に終わらせる。
彼らの腕前と人柄、そしてその仕事環境に、僕らはすっかり心を奪われてしまった。

仕上げにエンジンがちゃんとかかるか試したところでまたもや問題が発覚。
キャブレターがイカレてる。

「今日の作業はここまでだ。みんな帰る時間だし、明日の朝9時にここに来てくれ。ホテルに泊まるなら、
この先にオススメのホテルがある。じゃあ、また明日。」
Markusはそう言って帰って行った。

朝,Fresh Breezeへ向かうともう作業は終わっていた。
エンジンをかけ、最後の調整。
色々な細かい部分まで直してもらい、僕らはすっかり安心してこのエンジンに身を委ねる事ができるようになった。

突然の厄介者に嫌な顔一つせず、どこまでも細かいところまで目を配ってくれた彼ら。
それは当たり前の事で、乗りかけた船じゃないけれど、一度自分たちが手を触れた物は最後まで責任を持ってやる。
それが彼らのやり方で、それこそが本当の仕事と言えるものなのだろう。
最後の最後でセルモーターのバッテリー充電機に繋ぐプラグを一瞬で作ってくれて、それにも全く驚くしか無かった。

最初に立てた予定とは大幅な遅れをだしながら旅がスタートした。
行こうと思ってた場所に辿り着かない可能性もでてきた。
エンジンがちゃんと届いていたら。
修理の必要なく始めから上手く動いててくれれば。
後悔は先に立たないものだが、次に待ち受ける出会いもまた同じ事だ。
自分たちの失敗のおかげで「Fresh Breeze」の人たちに出会えたのだと思える。
彼らとの出会いは確実にナオヒロや僕の心に大事なことを刻んでくれた。

夕暮れ時、仕事道具を片付け、サッカーボールを蹴り、犬のPauliと戯れているスタッフ達。
彼らのように素直な幸福が笑い顔から感じられる、そんな仕事を僕もしたいと思った。

ようやく始まったばかりの旅だが、出だしはとりあえず順調?です。

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